プレイヤーズ・ファースト


 日本サッカー協会が「子供のサッカー環境をよくする仲間」というコンセプトの下に、子供たちがサッカーを楽しめるように周囲の大人が何を考えてどう行動すべきかを纏めた資料があります。コーチの思い、レフェリーの役割、保護者のサポート、応援に来た兄弟姉妹、フェアプレーって何?、大会運営のフィロソフィー等の、夫々についてガイドラインとなる情報が記載されています。


 少年少女サッカーの主役は子供たちですが、プレーヤーズファーストの精神を忘れてしまうと、大人が熱くなりすぎて自己満足を追い求め、せっかくの子供たちの楽しみを大人が奪ってしまう事になります。試合の相手やその保護者、審判、大会役員、全てが揃わなければ試合は成り立ちません。全ての関係者にリスペクトの気持ちを持ち、大人がフェアプレーの手本を見せる事が大事です。下記に資料のリンクがありますので、是非ご家族で読んで頂きたいと思います。


8人制サッカーについて


 中学生以上のサッカーは11人制、全日本少年サッカー大会も数年前までは11人制でした。では、なぜ8人制に移行したのでしょうか?このキッズ、ジュニア年代に相応しいサッカーとは、どんなサッカーだと思いますか?キッズ、ジュニア時代に重要なことは、サッカーを好きになる事と基礎スキルの向上です。では、そのスキルを試す場としての試合に11人では無く8人しか出れないということは、その機会を奪っているのでは?と考えたくなりますが、実はその反対なのです。


 8人制サッカーは11人制よりも小さなピッチで試合ができますので、複数のピッチを作れば同時にプレーできる人数は逆に増えます。また、シュート数とペナルティエリアへの侵入回数や、ボールに触ってプレーする回数は、11人制よりも8人制の方が大きく増えます。またゴールキーパーは、最後のディフェンダーとして多くの選手にチャレンジする機会を与える事ができます。そして、審判や保護者・コーチも含めて、リスペクトの精神、フェアプレーの精神を育むにも大変良い環境を8人制サッカーは与えてくれるのです。


勝利至上主義の弊害


 少年サッカーに限った話ではありません。各年代のいろんなスポーツの現場での指導者における暴力事件等が表面化しており、それに応じるように、この勝利至上主義という言葉の認知度も上がっているようです。ある指導者の方が書かれたコラムで読んだ「子供以上に、大人のほうが勝ちたいのではないか?」「子供から自分で考える力を奪うこと」という言葉が印象的です。我々コーチは、勝ちにつながる技術や戦略で子供を縛る指導をするべきではないと思います。


 試合の中で発揮されるスキルや戦術は、子供たちがしっかりした基礎スキルの上で自由に発想・判断すべきことであり、大人はそれを尊重する事で子供たちの育成を手助けするべきだと考えます。勝つために子供のポジションを固定し、リスクを排除すべくロングボールを多用し、何試合も闘えるようにジュニア時代には必要のない強度のフィジカルトレーニングをする。こういう指導を受けた選手がジュニアユースに上がってサッカーを続けてくれるのか、更にスキルアップをしていけるのか、という事を我々コーチ陣は真剣に考えないといけないと思います。

すべては、子供達の為に!