2025/04/18 2025/04/18
【暑さ対策・熱中症】サッカーにおける暑さ対策、熱中症とその救急処置についての情報
サッカーにおける暑さ対策
熱中症対策 (日本サッカー協会)
2016年度より、少年の大会や練習試合にも適用される熱中症対策が記載された資料が発表されました。詳細については、以下の熱中症対策ガイドラインを参考にしてください。
こどもの体温調節能力について (日本体育協会)
夏のトレーニングにおいて、体温調節機能の働きが重要です。人間の体温は通常、発生する熱と汗の蒸発によって一定に保たれています。しかし、夏の高温多湿な環境では、熱の放射が妨げられ、激しい運動で熱が増加し、体温が上昇します。
こどもと大人の体温調節機能の違い
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基礎代謝量: 高い
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体表面積: 高い
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発汗量: 低い
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血管調整反応: 低い
さらに、こどもの自律神経は未発達であり、発汗率が低いため、暑さへの適応に時間がかかります。そのため、大人よりも体温が上がりやすく、熱中症のリスクが高くなります。こどもに対しては、体調や水分補給、休息などを考慮した予防策が重要です。
試合中の体重減少(発汗量) (日本サッカー協会)
軽い脱水症状でも運動能力や技術の発揮が妨げられます。研究結果により、体重が2%減少することで運動能力が5%〜25%低下することが明らかになっています。例えば、前半で2%の脱水が確認された選手がハーフタイムに水分補給をしないと、後半の運動能力は約20%低下します。
試合中にも水は飲めるのか?
以前の日本のスポーツ指導では、「水は飲むな!我慢しろ!」という精神主義が強調されていましたが、現在では試合中に水分補給が認められています。これは1982年のワールドカップスペイン大会から始まり、健康管理や競技力向上を目的として導入されました。ただし、飲み物は「水」とされていますので、間違いなく水分補給を行ってください。
夏期にサッカーを実施する際の留意点
1. 何を飲むか
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糖分と塩分を含んだもの: 体への吸収速度を考慮した飲料を選びましょう。
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スポーツドリンク: 汗で失われたイオンを補うため、スポーツドリンクを摂取するのが効果的です。スポーツドリンクが利用できない場合は水でも問題ありません。
2. 飲み物の温度
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冷たく飲みやすいもの(約10°C~15°C)が理想的です。体を冷却する効果も期待できます。
3. 摂取量
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総水分摂取量: 発汗量と同量を目安に。
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1回の摂取量: 200〜300ml(コップ1杯程度)。
4. 水分摂取のタイミング
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こまめに水分を摂取する: 少なくとも15分ごとに摂取しましょう。
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喉が渇く前に水分を摂取する習慣をつけることが大切です。
5. 体重測定
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運動前後の体重測定: 水分摂取が十分かどうかを確認するために、運動前後に体重測定を行いましょう。
暑さに耐える能力
暑さに慣れることによって運動能力が向上し、暑さに強くなります。この現象を暑熱馴化と呼びます。暑熱馴化が進むと、体の水分量や血液量が増加し、熱の放散が効率的に行われます。これにより体温の上昇を抑え、発汗による体温調整が効果的に行われるようになります。
熱中症とその救急処置
熱中症の症状と種類
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熱失神: 暑い環境で運動すると、体温調節のために血管が拡張し、循環不全を引き起こすことがあります。顔面蒼白、脈が速く弱くなり、一過性の意識喪失が発生することもあります。
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熱疲労: 大量の汗をかき、塩分と水分が不足することで脱力感や倦怠感、めまいなどの症状が現れます。
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熱けいれん: 汗をかくことで血液中の塩分濃度が低下し、筋肉に痛みを伴うけいれんが発生します。
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熱射病: 高温下で激しい運動を行うことで、体温が40°C以上に上昇し、脳の温度調節中枢に障害が発生します。意識障害やショック状態、臓器障害を引き起こすことがあり、非常に危険です。
熱中症の救急処置
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熱失神、熱疲労: 涼しい場所に移動し、衣服をゆるめて休ませ、水分を補給します。吐き気がある場合は病院で点滴を受ける必要があります。
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熱けいれん: 生理食塩水(0.9%)を補給します。
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熱射病: 生命の危険がある緊急事態です。体温を下げながら、集中治療可能な病院に速やかに搬送する必要があります。冷却処置は、全身に水をかけてあおいで熱を放散させる方法が効果的です。
このように、サッカーにおける暑さ対策は選手の安全を守るために重要です。特にこどもたちは大人よりも体温調節が未発達であり、熱中症のリスクが高いため、十分な対策と監視が必要です。